コーポレートガバナンス・ガイドライン

本ガイドラインは、イサム塗料株式会社(以下「当社」という。)およびイサム塗料グループ(以下「当社グループ」という。)におけるコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方や枠組みを示すことを通じて、株主価値の最大化と株主等ステークホルダーから評価され、永続的な発展と成長を続けることを目指すとともに、当社が資本市場の発展に貢献する社会的使命の重要性を踏まえ、役員および従業員の行動指針とすることで、当社コーポレートガバナンスのさらなる充実を図ることを目的として定めるものです。

第1章 コーポレートガバナンスについての基本的な考え方

1-1(基本方針)

当社は、顧客、株主、従業員、取引先、地域社会等のステークホルダーの立場を踏まえ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために、経営を効率化し、経営責任を適切・公正に遂行するため、絶えず実効性の面から経営管理体制の見直しと改善に努めています。
また、適時かつ正確な経営情報の開示に努め、経営活動に対する監視・チェック機能の強化、透明性の向上、コンプライアンスおよびリスク管理の徹底を図ることでコーポレートガバナンスを充実させていくことが、経営上の最重要課題のひとつであると考えています。

1-2(経営理念)

当社は、『良品質な塗料を通して、広く社会に貢献する』を企業理念とします。その理念の下、すべてのステークホルダーの期待に応え、永続的な成長および企業価値の最大化を達成するために、価値ある製品とサービスを提供します。

1-3(内部統制システム)

当社および当社グループのすべての役職員が、コンプライアンスを確実に実践することを支援・指導する組織として、コンプライアンス委員会を設置し、関連規程およびコンプライアンス・マニュアルを定め、すべての役職員への継続的な教育を行っています。また、当社「リスク管理規程」に基づき、経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクに対し、未然防止、再発防止および迅速な対応に努めます。 さらに、代表取締役直轄の内部監査室を設置し、法令遵守、内部統制の有効性と効率性、財務内容の適正開示、リスクマネジメントの検証等について、各事業所、部門、グループ会社などの監査を定期的に実施し、チェック・指導するとともに、監査等委員会との情報共有等の連携を図っています。

1-4(中長期的な経営戦略等)

当社は、取締役会において中期経営計画および年度計画を定め、当社として達成すべき目標を明確化するとともに、各部門長の所管する部門ごとに業績目標を明確化し、その進捗を経営企画会議で定期的に報告させ、各部門長および担当役員の業務執行を監督します。

第2章 株主の権利と平等性の確保

2-1(株主の権利・平等性の確保)

当社は、株主総会における議決権をはじめとする株主の権利が実質的に確保されるために、迅速かつ積極的な情報開示ならびに円滑な議決権行使のための環境整備に努めます。

2-2(株主総会の権利行使における環境整備)

当社は、株主総会が株主との建設的な対話の場であることを認識し、株主が総会議案について十分な検討期間を確保できるよう、以下のとおり対応することで、権利行使に係る適切な環境を整備します。

  • ①総会招集通知は法定期日の1週間以上前(株主総会開催日より3週間以上前)に発送するとともに、当該発送日翌日に当社ホームページにて開示します。
  • ②議決権行使に際しては、当社の株主における機関投資家および海外投資家の比率は相対的に低いため、持株比率の推移を踏まえつつ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めることとしています。
  • ③信託銀行等の名義で株式を保有する機関投資家等が、株主総会において自ら議決権の行使を行うことを予め希望される場合、事前に信託銀行等と協議のうえ、対応について適切に検討します。

2-3(株主との対話)

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためには、株主・投資家との積極的な対話が必要不可欠との考えのもと、代表取締役が総括して総務担当取締役を中心とするIR体制を整備し、当社の経営戦略や経営計画に対する理解を得るため、株主や投資家からの取材にも積極的に応じます。
IRに関しては、「情報開示方針」に基づく適切な対応を行います。

2-4(資本政策および利益還元方針)

当社は、財務の健全性・資本効率・株主還元の観点から、バランスのとれた最適な資本構成のもと、継続的に企業価値を向上させることを基本としています。 財務の健全性については、売上高営業利益率11%以上、資本効率を示すROE(自己資本利益率)については、中期的に6%を目指していきます。
株主還元方針は、業績や経営環境ならびにフリー・キャッシュフローの水準等を総合的に勘案した上で安定した利益還元を行うことを基本としています。

2-5(政策保有株式)

当社は、取引先の株式を保有することで中長期的な関係維持・強化ならびに株主の安定等が可能になるものを対象として政策保有を行います。 同株式の保有継続の適否は、当社の成長に必要かどうか、他に有効な資金活用はないか等の観点により、取締役会で定期的に検証を行っています。 発行会社の株式を保有する結果として当社の企業価値を高め、株主・投資家の皆様の利益に繋がると考える場合において、株式の政策保有を継続する方針としています。
また、政策保有株式に係る議決権行使については、当社の中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを総合的に判断することとしています。

2-6(株主以外のステークホルダーとの適切な協働)

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、株主をはじめとする全てのステークホルダーとの協働が必要不可欠であると認識しており、当社の経営理念 「良品質な塗料を通して、広く社会に貢献する」を実践することが、社会から信頼される企業であり続けるための最重要遂行課題であると考え、 「イサム社是」を社員としての行動規範とし、事業活動を行なっています。
また、代表取締役が自らの言葉で全社員に直接説明を行なう機会である経営方針発表会を毎期首に開催し、全役職員の意思統一を確認し、事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に努めています。

第3章 適切な情報開示と透明性の確保

3-1(情報開示に関する基本方針)

当社は、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーに対し、必要な企業情報を適時、公平かつ正確に提供することを基本方針としてIR(株主・投資家向け広報)活動を実践し、すべてのステークホルダーの信頼を得られる企業を目指します。

3-2(適切な情報開示に向けた取り組み)

当社は、「情報開示方針」に基づき、迅速、正確かつ公平なディスクロージャーを実行します。
当社は、適時開示規則が定める重要事項に該当する情報の開示は同規則に従って行うほか、当社への理解を深めていただくために有効と思われる情報についてもタイムリーかつ積極的な開示に努めます。

3-3(適正な監査の確保)

当社は、外部会計監査人による高品質な監査を可能とするよう、開示書類の作成スケジュール等に配慮するとともに、代表取締役との定期的な面談や四半期レビュー等における監査等委員との連携を通じ、財務報告の信頼性向上を図ります。

第4章 取締役会

4-1(取締役会の役割・構成)

<役割>
  • ・取締役会は、株主に対する受託者責任を踏まえ、中長期的な企業価値向上を目指し、当社の経営に関わる重要事項の審議および意思決定ならびに会社の事業、経営全般に対する監督を行います。
  • ・意思決定の迅速化のため、取締役会で決議した経営の基本方針に基づく業務執行については取締役への権限委譲を進め、取締役会はその業務執行を監督します。
<構成>
  • ・取締役会は、当社グループの事業に関する深い知見を備えるとともに、財務会計、リスク管理および法令遵守等に関する多様な知見・専門性を備えた、全体として適切なバランスの取れた構成とする。
  • ・監査等委員を除く取締役の員数は10名以内とする。
  • ・取締役総数のうち、独立社外取締役を3分の1以上とすることを目指す。

4-2(監査等委員会の役割・構成)

<役割>
  • ・監査等委員会は、当社における業務の適法、妥当かつ効率的な運営のため、次の事項をはじめ業務執行取締役等の職務執行の監査・監督を行います。また、監査・監督の遂行のため、監査等委員会の補助担当部門としている、内部監査室、総務部に直接、指示・命令し、必要情報の提供を求めることができる。
  • ・取締役会への出席、議決権行使および意見陳述
  • ・その他の重要会議への出席、意見陳述
  • ・監査方針、会社の業務および財産の状況の調査方法、その他監査等委員会の権限の行使に関する事項の決定
<構成>
  • ・監査等委員である取締役の員数は5名以内とし、その過半数は独立社外取締役とする。
  • ・期待される役割・責務を実効的に果たすため、適切な経験・能力および必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者をバランスよく備え、特に財務・会計に関する十分な知見を有している者を1名以上含んだ構成とする。
<外部会計監査人の選任>

監査等委員会は、外部会計監査人の選定にあたり、当該監査人の監査体制や日本公認会計士協会の「独立性に関する指針」に基づく独立性および品質維持に係る取り組みの報告等を通じて総合的に判断しています。

4-3(取締役会の経営陣への委任範囲)

取締役会は、法令で定められた専決事項および当社「取締役会規程」に定める事項の決定を行います。その他の主要な業務執行の決定については、当社「職務権限規程」において、その権限委譲の範囲を定めています。
また、業務執行の意思決定の迅速化を図るため、「経営企画会議」を設置しています。

<経営企画会議>
  • ・取締役会から委任を受けた範囲内において業務執行に関する重要な意思決定を行います。
  • ・メンバーは、業務執行取締役および各部門長で構成し、その他必要と認めるものはオブザーバーとして会議に出席するものとします。

4-4(取締役会における審議の活性化)

当社は、取締役会を問題提起等含めた自由闊達で建設的な議論・意見交換の場とするため、以下のとおり実施することによって、会議運営の円滑化を図ります。

  • ①業務執行取締役および監査等委員である取締役に対する十分な情報の提供ならびに社外取締役との連絡・調整を行うため、予め年間の取締役会開催日程および予定されている議題をまとめ、取締役に案内する。
  • ②取締役会に付議する議題等資料は、原則として取締役会の前に配布する。
  • ③特に社外取締役に関しては、取締役会の議題以外にも必要とされる情報が提供されるよう、就任時を含め継続的に当社の事業内容や経営環境に関する情報を提供する。

4-5(関連当事者間の取引)

当社は、役員等関連当事者との間で利益相反取引を行う場合には、当社「取締役会規程」に基づき、当該取引が当社および株主共同の利益を害する懸念がないことを確認したうえで、予め取締役会の承認を得ることとしています。また、取引実施後、当該取引に係る重要な事実を取締役会に報告します。

4-6(取締役会の実効性分析・評価)

当社は、取締役会の実効性の維持・向上のため、取締役会の分析・評価を定期的に実施し、その結果の概要を必要に応じて開示します。

第5章 取締役の選解任

5-1(取締役の選解任)

1.取締役候補者の選任にあたっては、取締役会のあるべき姿を踏まえ、各取締役の知見・経験が取締役会における討議・意思決定に必要な要素を幅広く含む構成となるよう、多様性に配慮することとします。

<社内取締役>
  • ・ステークホルダーの立場に立った経営判断能力と経営監督能力を有すること
  • ・人格、識見ともに優れ、高い倫理観を有すること
  • ・十分な業績上の裏付けを有すること
<社外取締役>
  • ・コーポレートガバナンスの向上および経営に寄与できること、ならびに率直な具申ができること
  • ・経営経験者、または特定専門分野での豊富な経験を有する者
  • ・異なる経歴、専門分野、男女など可能な範囲で多様性のある構成を考慮する
<監査等委員である独立社外取締役>
  • ・原則として、法曹または会計分野で専門知識を有する者、各々1名

2.選解任の手続き
取締役候補者の選任および再任の適否については、恣意性を廃して健全な選任を行うため、取締役候補者の指名にあたっては、当社の幅広い業務分野に関し、 十分な知識・経験・能力を有していることはもちろんのこと、経営判断能力にすぐれ、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に貢献することが期待できる者を候補者として取締役会にて決定しています。
また、年に1回実施する取締役会の実効性評価において、取締役に要求される資質や属性について議論を行っています。
取締役の解任方針については、当該取締役につき法令違反・不当な業務執行等により、当社グループの企業価値を著しく毀損したり、職務執行に著しい支障が生じたりするなど、当社取締役に求める資質が認められなくなった場合には、取締役会で審議の上、役位の解職その他の処分または株主総会に対する解任議案の提出について、取締役会において決定します。

5-2(独立性判断基準)

当社は、社外取締役の選任にあたり、会社法や東京証券取引所の企業行動規範に定める独立性の基準に照らして一般株主と利益相反の生じるおそれがない者で、かつ、専門的な知見に基づく客観的かつ適切な監督または監査といった役割が期待できる者を候補者としています。

5-3(取締役の報酬)

当社は、業務執行取締役の報酬は役員報酬規程(役員報酬額の算定基準)に規定しています。報酬額は基本報酬と役員手当で構成されており、基本報酬は役位に応じた定額、役員手当は役位別に就任期間と業績に連動する算出方法を採用しています。
監査等委員の報酬額は、株主総会で決議された報酬限度額の範囲内において、常勤監査等委員と非常勤監査等委員の別、社内監査等委員と社外監査等委員の別、業務の分担等を勘案し、監査等委員の協議により決定します。

5-4(取締役の兼任)

取締役の他社での兼任状況は、株主総会招集通知や有価証券報告書等を通じて毎年開示しています。なお、当社取締役会での出席状況等についても株主総会招集通知で情報開示しており、その役割・責務を適切に果たしています。

5-5(取締役のトレーニング)

当社は、社外取締役を当社に迎えるに際し、工場施設見学をはじめ、当社が属する業界、当社の歴史・事業概要・財務情報・戦略・組織等について、必要な情報習得のための研修を行なっています。さらに、各業務執行取締役は、より高いリーダーシップ力と経営戦略を培う能力を開発するため、外部機関などを活用し、経営スキルを習得する研修を実施しています。また、各監査等委員は、各種セミナーや他業種との意見交換会に積極的に参加し、業務および会計に関する監査スキルを習得しています。

2021年5月10日 制定